顎関節症はタイプによって対処法が異なります
「口が開けづらい」「開けるときに音がする」など、あごの痛みや違和感にお困りではありませんか?
もしかすると、それは顎関節症かもしれません。
顎関節症は、発症すると治療期間が長引きやすい病気であるため、発症する前の予防が大切です。
発症した場合もタイプによって対処法が異なることから、一度、歯科医院で調べるほうが治りは早い傾向にあります。
このページでは、顎関節症にどんなタイプがあるのか、治療法と注意点もあわせてご紹介します。
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目次
こんなお悩みはありませんか?
- お口が開けづらい
- お口を開けるときに音が鳴る
- お口が開けると痛い
- あごにだるさを感じる
- 起床時にあごが痛い
- 顎関節症の原因が知りたい
顎関節症について
顎関節症とは
種類がいくつか存在し、それぞれにあった治療法でなければ、うまく治すことができません。
場合によっては、間違った治療法が原因で悪化するケースもあるため、注意が必要です。
●自己流マッサージは厳禁
顎関節の痛みや、違和感を覚えたときに、筋肉の疲労が原因だと決めつけて自己流マッサージをおこなう方がいますが、悪化する可能性があるためおすすめできません。
どの部分をどのようにマッサージすればいいのかは、プロによる判断が必要です。
歯科医院で確認し、正しくおこなうようにしましょう。
●顎関節症は長引きやすい
虫歯の治療とは違い、顎関節症はすぐに治せるものではありません。
軽度であれば早めに治療の効果が現れることはありますが、自覚症状がでてすぐに来院くださる方は実際のところ少ない傾向にあります。
治療が遅くなればそのぶん状態は悪くなり、治療期間がのびるため、異常を感じたら早めに歯科医院で調べるようにしましょう。
顎関節症のタイプ
●咀嚼筋痛障害(筋肉痛タイプ)
咀嚼筋(そしゃくきん)とよばれる噛むときに使用する筋肉に、炎症がおこって痛みがでているタイプです。
顎関節に問題はみられませんが、筋肉痛がおこっているため「お口が開きづらい」「開けるときに痛みがある」などの症状があらわれます。
・正しい治療法
咀嚼筋痛障害には、筋肉マッサージや開口ストレッチが効果的です。
ストレッチは自己流マッサージではなく、歯科医院で教わった方法を実践しましょう。
また、治療中は筋肉の負担をできるだけ減らすことが求められます。
硬すぎる食事や偏った噛み方はしないように意識して過ごしましょう。
●顎関節痛障害(ねんざタイプ)
顎関節を包む組織に炎症が生じているタイプです。
筋肉ではなく顎関節そのものに問題がみられるため、マッサージをしても効果がほとんど得られず、顎関節に刺激を加えるとさらに悪くなる可能性があります。
●正しい治療法
顎関節痛障害の場合は、まず顎関節の炎症がおさまるまでできるだけ安静にし、炎症がおさまったら開口ストレッチをして状態を戻していきます。
咀嚼筋痛障害とおもって、いきなり開口ストレッチをすると悪化する可能性が高いため、ご注意ください。
顎関節の炎症がおさまるまでは硬すぎる食材を避けて、大きくお口をあけなくてもいいように食べる前に小さく切るなどの工夫が必要です。
●顎関節円板障害(クッションのずれタイプ)
顎関節にある関節円板(かんせつえんばん)とよばれるクッションの役割をしている組織が、定位置より前にずれて症状をひきおこすタイプです。
症状としては主に「お口が開きづらい」「開けるときにカックンと音が鳴る」などがあります。
・正しい治療法
クッションを治すことは難しいため、ただ音が鳴るだけであれば、経過観察となるケースがほとんどです。
痛みがある場合は痛み止めを処方します。
ロックがかかったようにあごが動かない、お口が開けられないなど症状がでた場合は、痛み止めを処方し、痛みがおちついたら徐々に開口ストレッチをして、お口をあけられるようにします。
●変形性顎関節症(骨の変形タイプ)
顎関節の骨同士がぶつかりあって、変形してしまったタイプです。
顎関節円板障害が続いた方におこりやすく、とくに関節円板が薄くなりやすい高齢者の方に多い印象です。
症状としては主に「お口が開きづらい」「ジョリジョリとした音が鳴る」などがあります。
・正しい治療法
基本的には顎関節円板障害と同様に、痛み止めを服用しながら、開口ストレッチを継続していただきます。
重症化した場合は、手術も検討する必要があります。
顎関節症の原因
不正咬合
不正咬合とは、噛み合わせが悪い状態を指します。
骨格の問題で不正咬合になる場合もありますが、以前は良かったのに悪くなったという場合は、基本的に歯が原因です。
不正咬合で噛む位置が偏ると、顎関節に必要以上の負担がかかってしまうため、顎関節症がひきおこされる場合があります。
歯並びが悪い状態や、虫歯や歯周病で歯を抜いたところを長期間放置すると、不正咬合になりやすいため注意しましょう。
●噛み合わせは一生同じではない
歯は生活習慣やお口の状態によって少しずつ変わっていくものです。
一生同じ噛み合わせが続くわけではないため、定期的にチェックすることをおすすめします。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎関節に必要以上の負担がかかってしまうため、顎関節症を誘発します。
とくに睡眠時の歯ぎしりは、体重の2〜5倍もの力がかかるとされており、丈夫な歯であってもヒビが入ることがあります。
そのままの力であごが無理に動かされるため、長期間続くと顎関節症を引き起こします。
●歯ぎしりはストレスや不正咬合が原因でおこる
歯ぎしりの原因は精神的ストレスや不正咬合です。
精神的ストレスは原因を突き止めることが難しく、突き止めたとしても全くゼロにすることはできません。自分にあったストレス解消方法をみつけるなどの工夫が必要です。
日常生活の癖
日常生活のなかで、頬杖やうつ伏せ寝が多い方は、顎関節症のリスクが高くなるため注意しましょう。
歯ぎしりのように無理やりあごを動かす形となり、顎関節には大きな負担がかかります。
できるだけやらないよう意識して過ごしましょう。
ご家族やパートナーの方と一緒に住んでいる場合は、癖がでているときに指摘してもらえるよう、事前に伝えておくことをおすすめします。
●壁に張り紙をするのも効果的
目につきやすい場所に張り紙をしておくことも効果的です。
一人暮らしの方やなかなか改善できない方は、ぜひお試しください。
顎関節症の症状
あごがだるい・痛い
あごのだるさや痛みは、顎関節症でみられやすい症状の一つです。
朝起きたときにあごのだるさや痛みを感じたときは、睡眠時に歯ぎしりをしている可能性が高いため、早めに対策をしましょう。
顎関節症は放置して治るケースは少なく、自己判断でマッサージをおこなってもそれがかならず効果的とは限りません。
場合によっては悪化する可能性もあります。
だるさや痛みを感じたら、まずは歯科医院へ相談しましょう。
お口が開けにくい
痛みがあり、さらにお口が開けにくい場合は、顎関節症の可能性はより高まります。
お口を開けたときに、指三本(人差し指と中指と薬指をくっつけた状態で縦にする)が入る場合は、基本的に問題はないとされています。
指三本が入るほどお口を開けることがつらい場合や、開けたときに音がなる場合は顎関節症の疑いがあるため注意が必要です。
開けるときに音が鳴る
「カックン」と一瞬引っかかって戻るような音や、「ジョリジョリ」とした骨同士がこすれているような音がした場合は、顎関節症の可能性がとても高いため、早めに歯科医院で調べてもらいましょう。
とくに、ジョリジョリとした音は、骨の変形タイプの顎関節症によくみられる症状であり、重症化すると手術が必要になるため、注意しましょう。
顎関節症の予防のために
歯ぎしりや食いしばりの確認
歯ぎしりや食いしばりがあると、顎関節症のリスクは高くなりやすいため、早めに気づいて対処することが大切です。
ご家族やパートナーと一緒に住んでいる方は、一度自分が歯ぎしりをしているかどうか聞いてみましょう。
もし確認がとれない場合は、スマホの録音機能を使うのもおすすめです。
歯ぎしりが確認できた方は、歯ぎしりで歯や顎関節に負担がかからないよう、ナイトガード(専用のマウスピース)を使って予防をしましょう。
●別のマウスピースを使用しない
ときどきスポーツ用やホワイトニング用のマウスピースをナイトガードの代わりとして使用する方がいますが、かかる力が全く異なるため、マウスピースに穴が開く可能性があります。
代用せずに専用のものを作って使いましょう。
癖の改善
頬杖やうつ伏せ寝などを続けていると、顎関節症のリスクが高まるため、癖を直すための工夫をしましょう。
つい頬杖をついてしまう方は、腰かけるのではなく立って使用するスタンディングデスクがおすすめです。
座っているよりも頬杖がつきにくくなるため、自然と回数が減ります。
また、寝るときは仰向けで寝ても、起きるときはうつ伏せ寝になっているという方は少なくありません。
寝るときに身体の両端にクッションを置いておくと、寝返りが横までしかうてないためうつ伏せ寝になる心配がありません。
改善が難しい方は、ぜひ一度お試しください。
定期検診
歯科医院では噛み合わせの調整や、定期的にお口全体を確認できるパノラマレントゲン撮影もおこなっております。
パノラマレントゲン写真では、全体の歯やそれを支える歯槽骨を確認できるだけでなく、顎関節の状態もチェックすることが可能です。
関節のすき間が狭くなっている場合は、それだけクッションである関節円板の厚みがなくなってきたという証拠でもあります。
定期検診は、異常があった際にすぐに対応できるため、顎関節症を予防したい方はぜひご利用ください。
当院での顎関節症に対するアプローチ
根本的な治療を行います
当院では、顎関節症を予防するために次の点に力をいれています。
●丁寧なナイトガードの作成
歯ぎしり防止のナイトガードは、気泡が入らないように丁寧に型取りをして、歯ぐきに触れる部分を滑らかに削り、はめても痛みがないように仕上げます。
使っていくなかで調整が必要になる場合もあるため、ご来院の際はかならずナイトガードをお持ちください。
●噛み合わせの調整
噛み合わせは、歯や顎関節だけでなく首や肩などにも影響がでるため、こまかくチェックをおこないます。
できるだけ被せ物の部分を削って調整するため、ご安心ください。
全体にバランスよく負担がかかるようになると、顎関節症がおこりにくくなります。
●生活指導
日常生活の癖の改善方法をわかりやすくお伝えいたします。
猫背などの悪い姿勢や、偏った噛み方なども癖の一種であり、顎関節症が悪化する要因です。
少しでも症状が良くなるよう、改善のサポートをさせていただきます。
顎関節症は治療期間が長引きやすいため、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
悪化しないよう、定期検診でのチェックは欠かさないようにしましょう。
よくあるご質問
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顎関節症は虫歯や歯周病に関係ありますか?
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顎関節症になるとお口が開けづらくなるため、お手入れが以前よりしにくくなります。
虫歯や歯周病のリスクが上がることから、悪化する前の対処が必要です。
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顎関節症はどのくらいの期間で治りますか?
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治療期間には個人差があるため、〇ヶ月で治ると断言することはできません。
早期発見・早期治療が治療期間を短くするポイントです。
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ナイトガードを使ったら余計に痛みが強くなりました。
使い続けるべきですか? -
ナイトガードを使って痛みが強くなった場合は、使用を中止し、歯科医院までご相談ください。
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顎関節症と親知らずの歯ぐきの腫れには関係がありますか?
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親知らずの歯ぐきが頻繁にはれる場合は、顎関節症のようにお口が開きづらくなります。
親知らずを抜いて改善されるケースも多いため、まずは一度歯科医院へご相談ください。
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顎関節症は再発しますか?
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一度治療をして治せても、原因があれば再発はします。
顎関節症になるきっかけは少なくないため、意識して過ごすことが大切です。
著者 Writer
- 谷本 隆(タニモト タカシ)
- ■資格:歯科医師
■生年月日:1966年12月31日
■血液型:B型
■出身:神奈川県
■趣味:登山、ランニング、ロードバイク、モーターバイク、温泉めぐり、食べ歩き、他
■得意な診療:審美、歯周病、インプラント
■ご来院されるお客さまへ一言:健康で楽しい人生のお手伝いを、お口の健康からサポートします!
診療案内
MEDICAL
一般歯科
一般歯科では、虫歯・歯周病治療、入れ歯の作製・調整などおこないます。
一般に良くあるお口の病気ということでそのほとんどは健康保険でおこなえます。
歯周病治療
歯を失う原因として一番多いのが歯周病です。
気づかないうちに進行し、さまざまな口腔内の不具合を招きます。
また近年、歯周病と全身疾患との関係が明らかにされ、糖尿病・心疾患・早産などのリスクを高めるとされています。
小児歯科
お子様の成長発育に合わせたむし歯予防や歯周病(歯ぐきの炎症)予防、むし歯の治療、そして歯並びやかみ合わせの治療を通して、健全な永久歯列咬合を育成してまいります。
予防歯科
予防歯科とは、虫歯や歯周病になってから行う治療ではなく、発生を防ぐ予防的処置のことです。
既に虫歯や歯周病が治療が終わった患者様では、 再発を防ぐためのメンテナンスを行います。
矯正歯科
当院では専門医のおこなうお口全体の矯正治療ではなく、費用を抑えた部分矯正を中心におこなっております。
全額的な矯正が必要な場合は、実績のある専門医とチームを組んで患者様のご要望に添った治療をおこないます。
審美歯科
歯の色、歯の形、銀歯、変色といったことにお悩みの方多いのではないでしょうか。
そういった患者さんの悩みを解決したり、美しい歯や口元をつくるのが審美歯科の役割です。
インプラント
インプラント治療は、外科と入れ歯の両方の高度な能力が必要とされる治療です。
当院長は、25年以上にわたるインプラントやそれに関わる義歯・外科・歯周病治療などの経験をインプラント治療に活かしています。
ホワイトニング
当院では、「大切なイベントの前に歯を白くしたい」「笑顔にコンプレックスがある」「コーヒーやタバコによる歯の着色が気になる」といった方に比較的費用を抑えた処置(ホワイトニング)をご提案します。
口腔外科
専門医でないとおこなえないリスクの高い処置を除き、当院の口腔外科で対応できることが多いです。
歯周病の手術や小帯異常などは日常的におこなっていますので、お気軽にご相談ください。
セカンド
オピニオン
「かかりつけの先生とは違った意見を求めたい」「治療が上手くいっているのか第三者に診てもらいたい」といったお考えをもたれている方は多いと思います。
当院ではセカンドオピニオンにも対応しています。
お気軽にご相談ください。
当院のご紹介
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